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新宿情報ビジネス専門学校主任講師による専門研究論文
研究論文

平成17年度専門研究論文「キャリアデザイン教育における
職業分析と自己分析の実践的指導方法」

研究担当者 川原祥史(主任講師)
共同研究者 佐古田正道     

Ⅰ 緒言(はじめに)

 若年者の雇用をめぐり、フリーターやニートの増加・早期離職等、「就職はしたが長く続かない」あるいは「職業や将来に対する見通しを持たない」という意識傾向が大きな社会問題となっている。これは現在の個人レベルでの意識にとどまらず、我が国の産業そのものの活性化にも関わる長期的な課題と考えることもできる。
反面、企業側から見れば、不景気の長期化した現在、入社後に自社で職業人を養成するほどの余力はないのが現状である。
上記のような状況を受け、教育から職場へのキャリア形成支援策として「若者自立・挑戦プラン」が平成15年に関係省庁によりまとめられた。このプランにおける専修学校の位置づけとしては、在学中の「入職準備期間」ともいえる時期に、能力開発・キャリア形成の方向性を明確にするための導きをいかに行うかということに集約される。職業への移行をスムーズに行うべく、個々のキャリア探索の支援をする必要があることはいうまでもない。

 これにはメンタルな面も多分に含まれ、当然のことながら一斉に同条件でというわけにはいかない。学校としての対応策としては下記の二点が考えられる。

  • 職業人としての自立支援
  • 労働倫理・技術獲得の支援と就業体験(トライアル)の場の開拓
  • キャリア探索に向けてのカウンセリング
  • 各学生の方向性を導き、様々な考え方に対応した相談や情報提供

 ドイツにおいて推進されてきたデュアルシステムという職業教育は、「企業に入ってから」ではなく「入る前から」という前提のもとに成り立っている。職業観の育成という曖昧な概念ではなく、養成訓練の場としての考え方、換言すれば、学校と企業との繋がりは在学期間中から既に存在しているという混合教育プログラムということができる。ドイツでは若者の6~7割がこのシステムを利用し、その約半数が訓練をした企業に就職している。

 日本版のデュアルシステムとして当校が独自に開発し、平成16年5月に発表した「産学連携デュアルシステム」は、以前より実施していた「半日学び半日働く」というコンセプトの上に構築された制度である。後述の、企業と提携した職場実習もそのひとつであり、期間中の訓練のみならず、企業のニーズと訓練生の能力がマッチすれば正規雇用への移行も期待できる。
これには当然、教育機関・学習者・受け入れ企業の三位一体の協力体制が必須となる。本年度は、その第一段階として試みたキャリアデザイン講座及び企業研修(職場実習)の成果についてまとめてみたい。

II 研究方法

1.制度上での改善策

 当校が以前より実施していた制度は、年間総授業時間数1,000単位時間確保というもので、午前中に必修科目を年間で840単位時間履修、午後は週2日選択教科を160時間履修するものであった。(このために、夏期休暇を8月の1ヶ月に限定している。)
平成16年度より実施された新制度では、上記以外に年間360時間以上の職場実習を選択教科として上乗せしている。この職場実習(アルバイト)の中に、自らの専攻に関係する業務が1/2以上含まれていれば、6単位を上限に、履修単位として認められる。

2.キャリアデザイン講座

 平成17年度より、選択講座として「キャリアデザイン」を開設した(週1回×10週=1単位)。職業適性の発見と社会人としてのマナーを身につけさせることはもとより、「人生と職業は関わりを持つものである」という意識の啓発に重きを置いた。実際には、このあたりの初歩段階からのアプローチが最も必要とされる。したがって、本講座は黒板に向かっての講義という類のものではなく、個々の学生との話し合いの場としての性質が強い。担当教員は実務やマナーの指導者となる一方で、日々の生活の中で十分に学生を理解し、キャリアカウンセラーとしての心理的関係を確立することも求められる。
本講座において扱った主なテーマは下記の通り。

  • 課業分析ワークシートによる自己能力の認識
  • 現在の希望職種・課業についてのグループ討論及び意見交換
  • ホランド(Holland,J.L.)の理論(興味・能力・価値観)によるパーソナリティ類型理解と職業適性の発見
  • 「ジョハリの窓」による“自分”探し … 自分 + グループメンバーの評価
  • 接遇・応対のマナー
  • 各種ビジネス文書(社内・社外・社交文書)の書き方
  • 面接試験における自己アピールのポイント
  • 魅力ある履歴書の書き方
  • その他、「職業ハンドブックOHBY」「キャリア・インサイト」等の職業適性診断システムを利用しての適性理解やグループ討論 など。

 キャリアといえば、学生は単に「経歴」「職業的能力」という意味に解するが、木村周氏の「生涯を通じて関わる一連の労働や余暇を含むライフスタイル」という理論に基づき、「自分が作る人生の方向」という未来性の動的な面を認識させることにも重点を置いた。

3.職場実習企業との提携

 数十の関係機関に打診し、受け入れ可能との回答を得た数社の中から、今後の更なる協力関係を見越して一社を選び出した。これを第一ステップとし、今後は複数の企業とも協力関係を結びたいと考えている。
まず本年度はS社(ソフトウェア開発・販売・アウトソーシング関係企業)に依頼することとした。学生にアンケートを実施して希望を募り、平成16年4月・10月入学の学生3名に実習をさせた。企業と学生は、それぞれに臨時雇用契約を結び、就業についてはS社の就業規則に従うものとする。
3名の実習内容は下記の通り。

3名の実習内容
学生A経理事務希望
(週4日×2時間)
経理ソフトの習得、仕訳入力、残高確認、未払金明細表、決算事務
学生Bプログラマー・システムエンジニア希望
(週4日×4時間)
各種集計作業、インストラクタ業務、プレゼン資料作成、ソフトウェア取扱説明書の作成
学生C一般事務・システムエンジニア希望
(週4日×4時間)
請求書の自動発効データベースの作成、ソフトウェア開発技術者としての学習、技術者検索データベースの作成
これらの分野別業務の他にも、日常業務としての電話応対、会議受付などは常に含まれている。

4.職場実習にあたっての自己分析作業

 実習希望の学生には、下記の自己分析作業を必須条件とした。

(1)課業分析と自己評価

  1. 希望する職業分野において特に将来にわたって必要とされる課業5項目を選択。
    例:入出力作業・入出金伝票処理・文書作成等
  2. 選び出した各5項目に、いかなる責任や能力が要求されるかを5段階で判断する。これは、個人がその課業をどのように見ているかでよい。
    例:技術的テクニカルスキル…4 文字記号の比較・注意力…3 手先の機敏さ…4 など18分野。
  3. 実習期間中の自己評価。上記課業の5段階に関し、現在の自分のレベルを自己分析・評価し、達成度を5段階で記入する。いわば実習期間の中間評価報告であり、職場上司にも見ていただき、アドバイスを得る。

(2)実習終了後の報告書

 実習終了後には下記のレポートを提出する。

(A)職場実習での自己分析と自己評価(不十分:1~十分:5)

【例】
職業の中には多くの課業があることがわかったか。…4
事前に職業調査を実施し、職業を現実的に見ることができたか。…2
適職選択の動機付けができたか。…3

など10項目、および実習と職業分析の感想

(B)職場実習記録

実習期間・合計勤務時間・主な仕事内容を月単位でまとめたもの。

(C)前出(1)の「課業分析と自己評価」を完成させたもの。

5.企業からのフィードバック

 評価に先立ち、S社には評価規準を概ね下記の通りとするよう依頼。

最高点:新入社員の3年後の期待像を含めた最高点
最低点:現時点では新入社員として受け入れ難いレベル

 評価の対象分野としては、ヒューマンスキル(社会人としての適応性)・ビジネススキル(実務能力)テクニカルスキル(技術応用力)の3分野に着目して評価を依頼した。S社はこれらを細分化し、コミュニケーション・企業人マナー・ITオフィス系スキルなど10項目に分け、4段階で評価をした。当校はその評価結果と担当上司のコメントをもとに、成績を決定し単位を認定する。

III 結果

 今年度実施したキャリアデザイン講座と職場実習から得られた結果を下記の通りまとめてみる。

1.キャリアデザイン講座

 本来この種の講座の性格は、学生-教師間相互に問題を提起して、ともに話し合い、解決策を考えながらデザインを進めていく能動型手段である。学生自身で考え、さらにグループメンバーにも助言を与えながら相互に理解し合うことを望んだが、学生の側から見れば相変わらず受動型で表面的な講義という感覚が否めないようであった。「学校自体がそのような性質のもの」という意識も根底にはあるのかもしれない。考えさせるためのテーマを投げかけても、積極的に反応するという気迫は薄い。回数を重ねるごとに集中力が途切れたり出席者が減少したりするのも実際のところであった。
本講座を10週間実施終了の後、受講生(7名)に「課業分析と自己評価シート」(前述II-4-1参照)「自己PR」「授業の感想」を提出させた。

 ここにおける筆者の視点(ねらい)としては次のようなものであった。

  • 課業分析と自己評価シート:「現段階における行動の主体は自分である」という意識、社会の仕組み理解への初期的導入
  • 自己PR:来るべき就職活動における、履歴書作成や面接試験での自己アピール表現への対策
  • 授業の感想:講座を通して、メンタル面(やる気・意欲)の高揚がどの程度表れているか

 これに対し、学生より提出されたレポートや感想には次のような記述が見られた。

  • 様々な仕事をする上での重要事項を知ることができ、気負いせずに就職活動をしていこうという自信がついた。
  • 自己評価している自分と、他人が見ている自分の差を見ることができた。
  • 少人数で履歴書の書き方や面接の受け方などの指導を受け、実際の面接試験の時にもかなりの自信が持てた。
  • 「ジョハリの窓」の盲点の窓(他人は気づき、自分では気づいていない自分)の項目が多くあったのには驚いた。
  • グループディスカッションや集団面接の練習で、自分を表現することの難しさを知り、初めての貴重な場を経験した。
  • 初めて学ぶことばかりだったが、これまでに気づかなかった自分を知ることができた。
  • 授業では得ることのできない職業適性の理解など、自分への気づきの度合いが深まった。

 ただし、学生は本講座に対し、いまだに「単位取得のための授業」という意識があるようで、どこまでが本音で語られているのか、現状では判断しにくい。いわゆる「提出のためのレポート」というものであれば、今回の研究材料としてはまだまだ不十分である。実際の講座で学生自身から滲み出てくる「自立心」をこちらが体感できるような場を作ることこそが、今後の大きな目標ということができる。

2.職場実習

 この種の試行の結果は必ずしも数字で表れるものではなく、何より学生が「どう変わったか」にかかっている。今回の職場実習(3名)の成果としては次の通りであった。

● 学生A:経理事務希望(週4日×2時間)

経理・会計業務の、会社全体での位置づけについては実感できたようである。経理ソフトの運用について短期間に習熟でき、それにもとづいた新人への適切な教育指導を遂行できたという評価も企業側からいただいた。このあたりは、当校における平素の技能訓練が応用できた例といえる。ただし、決算処理における段取りや全体把握という「細→大」への専門性について不足しているとの指摘があった。本人もケアレスミスによる結果のズレについては十分に反省しているようであったが、「細」のほうにばかり目を向けているきらいが感じられた。

● 学生B:プログラマー・システムエンジニア希望(週4日×4時間)

実習生3名のうちでは、本人の希望と企業側のニーズが最もマッチしていた例ではないかと思う。すでに3年の職業経験を有している学生であり、仲間への指導ということについても以前より関心があった。実習中はインストラクタやソフトウェア取り扱い説明書の作成などを経験し、業界の空気とともに、これから身につけるべきスキルを再認識できたようである。企業からの評価も、ITオフィス系スキルとリーダーシップ・学習意欲に高いものがあった。本人も実習に大変満足し、希望に満ちているようではあったが、彼のようなタイプの場合、初期に意気込みすぎて息切れすることも若干懸念される。

● 学生C:一般事務・システムエンジニア希望(週4日×4時間)

研修期間9ヶ月、時間数763時間。3人のうちでは最長であった。データベース作成という仕事の性質上、日常業務を隙間なくこなしていくものではなかったため、最初のうちは戸惑い気味であったようだ。しかし、その状況下でも人間関係を構築していく中から自分で学び、進んで仕事を見つけていくということを覚えたのは職場環境あってこそのもので、意義は大きかった。最終的には設計・インターフェイス決定・プログラミングなど、「自分で作ること」の喜びを覚えたようである。将来もこのようなシステム構築やソフト開発の業務を希望している。職場からも「客観的に自己評価し、向上心がある」との評価を得、新制度のよいモデルになった。

 以上の結果、2名がこのS社に正式採用されることとなった。

IV 考察および今後の課題

1.基礎力

 ここで敢えて学力という言葉は使わず、入学以前の基礎知識ないしは技能習得レベルという概念で考えると、まだまだ我々にはその補完的役割を負う必要がある。プリントや提出すべきレポートなど、紙一枚の扱い方・文字の書き方という底辺からの指導の重要性を感じる。
これらを克服した上で、学生自身の「動機づけ」への導入が最も重要な責務である。残念ながら、明確な志望や学習目標なしに漠然と在籍している学生は多い。自己PRについても、「私は○○な性格です。」と書き込むだけで、その先の一歩踏み込んだ意思がこちらに伝わって来ない。
職業観の育成以前に、まず自分自身を見出すこと、さらに自己の属する専門分野との関連性に気づかせ、学習意欲を向上させることを現場としては第一の目的と考えたい。キャリア講座内にとどまることなく、当然ながら専門科目との相互関連性を保ちつつ構築されていくべきものと考える。

2.フリーターと正社員

 アルバイトをしながら生活している学生の中に、「卒業したらアルバイトの時間を増やせば何とかやっていける」くらいに考えている者が多いのには驚く。収入面での差異に加えて賞与なし、税金や健康保険・厚生年金などの負担を考え合わせると、フリーターの年収額は正社員の4分の1程度という調査も出ている。職業能力の発展という点を考えても、それほどの期待はできない。何より、学業修了直後にキャリアの空白が生じてしまうことの将来へ及ぼす影響、この最も危惧すべき部分に触れていかなければならないことを痛感した。

3.実際行動面の指導

 従来の学校における進路指導は、とかく「指示→説得→指導」という方向に流れがちであった。しかし、キャリア・カウンセリングには自己実現のための「開発」的要素が求められる。このあたりは「ガイダンス」と「カウンセリング」の概念の違いともいえる。
ITビジネス系専門学校という立場で考えれば、当校で習得した技術を活用し、満足のいく職業的自立をしてくれることがいちばんの願いである。的確なキャリアデザインは当然だが、さらにはその基礎の上に、スーパー(Super,D.E.)の職業的発達理論でいうところの「自分自身にとっても満足であり、また社会にとっても利益であるよう」な職業選びをして、豊かな人生を送ってほしい。したがって、何よりも働くための思考や行動が生まれなければ、この試みは収束しない。
恐れのほうが先にたってしまい、なんとなく貴重なチャンスを逸している学生も多い。また、なぜか最近の学生たちの間には、「自分が先ではちょっと…」という、引き上げ役を避ける気風が存在する。各種就職フェアなどに参加させることや、とにかく1社でも訪問してみることを推進しなければならないが、単なる就職情報の流し込みだけでは、やる気が起こらないのは目に見えている。
バンデューラ(Bandura,A.)の研究に、「自己効力(Self Efficacy)」という理論がある。これは「やってみようかな」という行動遂行の確信であり、主に下記の4つの情報源によって形成される。

  • 達成できたという経験により、「やる気」を強く安定させる。
     → 目標を一段下げても、とりあえずの達成経験。
  • 補助手段として言葉掛けにより励ます。
     →「よくできたね。すごい!」という賞賛。
  • 各種社会的モデルを通して、自分にもできそうだと予期させる。
     → 状況の似た人の成功体験を見聞きすることによる擬似的達成感。
  • 適度な緊張と開放的な雰囲気。
     → 感動や爽快感、高揚感の自覚。

 自信や意欲を促すため、これらを効果的に活用して発想を拡げて行きたい。絞るより拡げ、その中で優先順位をつけるというプロセスが有効なのではないだろうか。
 年2期制の当校では、1年生の後半6か月に、このキャリアデザインに対するモチベーションを高めていきたいと考えている。

4.ビジネス実務講座との違い

 キャリア教育には、就職してからのビジネスシーンに向けたマナーも大切だが、活動に臨む際の動機付けや自己理解の支援も要求される。今回の講座には「接遇・応対のマナー」「ビジネス文書の書き方」など、現場のマナーや実務項目を盛り込んだが、これらが現段階のターゲットとして適切であったか否か、そして真の啓発的効果があったかどうか、若干の疑問が残る。

5.各種キャリア支援ツールの利用

 今回の講座において、客観的に自己を診断するツールとしては、「ホランドの理論」による興味・能力・価値観の傾向尺度分類と、「ジョハリの窓」による個性発見法を利用した。今後はGATB(一般職業適性検査)・VPI(職業興味検査)・VRT(職業レディネステスト)・クレペリン作業性格検査などのアセスメント・ツールも、場合に応じて利用を検討してみたい。
本年度は、志向性や自己理解というパーソナリティ面の探索はある程度達成できたが、潜在能力の発見という点に関しては手薄であったと思われる。特にGATBは基礎的な能力特性を発見することができ、新たな自信へとつながることもあろう。
ただし最近の学生は、占いや血液型をはじめとして、客観的に自分を知りたいという欲求が強い。道具によって判断されたものを鵜呑みにして自己を決定づけてしまわないよう、導入の方法・時機・フォローには注意を要する。

6.派遣学生の選定

 現在はキャリアデザイン講座と職場実習を並行し実施している。講座受講者だけでなく、全学生を対象にアンケートで職場実習希望者を募ったわけだが、結果的には講座の中から精鋭を送り出している状態になった。すなわち、全学生から見れば、講座も実習も「限られた人のもの」という概念が生じやすい。このことについてもう少し広く意識を定着させることと、送り出すに値するエンプロィアビリティ(employability=雇用される得る能力)の全体的底上げが必要であると考える。
職場実習の意義は、働く人々の姿・雰囲気を肌で感じ取って職業意識へと繋げていくことにある。企業に実習をお願いするからには、学生には身をもって実社会の厳しさを体験し自らを磨いてほしい。学校側としても、そこで何らかの「成長」「感動」があってほしいと考える。本年度はまだ1年目だが、今後さらに複数企業との協力関係を充実させ、中間の状況報告を密にすることや他部署へのローテーション等も課題として考えて行きたい。

V おわりに

 当校が本年度より導入した、「学ぶ」と「働く」を学校教育の中で融合させたデュアルシステム。試みとしては、まだまだ黎明期であり、改善すべき項目は多い。卒業生(職場実習経験者)による懇談で、実態を生々しく伝えてもらうことも必要であろうし、各種分析方法・報告システムについても手を加えながら次年度へと生かしていきたい。
現実問題として、学生の視野は驚くほど狭い。これまでに目を向けてきたものといえば、学校はおろか、まだまだ家庭内にとどまっているような面も感じられる。したがって、我々も「このくらいは知っているだろう。」では成り立たない。基本に返り、将来の多様な選択肢についての不安を丹念に解きほぐしていく活動をしなければならない。
総じて言えば、キャリア教育は「心の指導」である。「進路の支援」から「就職の支援」へと円滑に展開していくこと、学生たちから見ても、それが気づかぬほどの自然な流れとなっていくことを今後の目標としたい。

VI 参考文献

  1. 社団法人 東京都専修学校各種学校協会編:長期デュアルシステム実現に適した産学連携モデル構築のための調査研究 調査報告書
  2. 社団法人 大阪府専修学校各種学校連合会編:日本版デュアルシステム実施ガイドライン(大阪府版)
  3. 木村周:キャリア・カウンセリング―理論と実際、その今日的意義―、社団法人 雇用問題研究会、東京、1999
  4. 小野田博之:自分のキャリアを自分で考えるためのワークブック、日本能率協会マネジメントセンター、東京、2005
  5. 社団法人 雇用問題研究会:職業研究、東京、2004
  6. 社団法人 雇用問題研究会:職業研究、東京、2005
  7. リン・オールソン:インターンシップが教育を変える―教育者と雇用主はどう協力したらよいか、社団法人 雇用問題研究会、東京、2000
  8. 三村隆男:キャリア教育入門 その理論と実践のために、実業之日本社、東京、2004
  9. 福地守作:キャリア教育の理論と実践、玉川大学出版部、東京、1995